ハイスピード・ドライビング

進化論の話の続きの予定でしたが、
思いの外まとめるのが大変なんで、

今日は全く関係のない、ドライビングテクニック本の紹介です。

本の整理をしてた時に見つけたのですが、

かなり前、僕がクルマの免許を取ろうとしてた頃の話。

クルマの方は、友人が乗ってたオンボロスポーツカーを安く譲ってもらう事になってたんで、

クルマの知識を付けなきゃ、と思って近所の本屋で買ったのがこれ。

新ハイスピードドライビング

新ハイスピード・ドライビング(ポール・フレール著)

著者のポール・フレールさんは故人なのですが、元F1ドライバーで、ルマンにも出場歴があり、かなり良い成績を収めたようですが、その後自分の天職はこっちだと悟ったのでしょうか?フェラーリのオファーを蹴ってクルマ関連のジャーナリストに転向したとか。(僕の記憶では)
ドライビングとメカニックの両方に精通した彼の的確な試乗インプレッションは、世界中の自動車関係者が注目したそうです。

当時、僕はそんなポール・フレールさんの実績を知ってた訳でなく、本屋でパラパラッとめくってよく分からない計算式がいっぱい載ってて何となくプロっぽい感じと、タイトルがいかにもレーサー向きでかっこいい、といった適当な理由で購入したのでした。

正しいドライバーとは?

この本の導入部で最初に語られてるのが、
「正しいドライバーとは静かに走るドライバーである」というお話。

と書くと「ストリートではノロノロ安全運転しろって事かな?」と、タイトルと矛盾するように感じさせるのですが、

実はそうではなくて、これを実際の公道でフツーのスピードで実践するにはかなりのテクニックを要します。

車の重心移動を完璧にコントロールする繊細なアクセルワークが必要だし、適切なブレーキタイミングやコーナーの横Gを最小にするライン取り、そして常に先を予測する必要があり、

公道でもサーキット(僕はサーキットは走ったことないけど)でも通用するマインドセットなのでした。

僕はこのマインドセットを最初に知ったおかげで、大きな事故を起こさずに済んだのかな、と思います。

最近は雑な運転になって実践出来てないな、と反省しました。

峠コーナー高速ぶち抜きテクニック

マンガ「頭文字D」で、主人公の藤原君が峠のコーナーでありえないスピードで曲がるのを目撃される、
というシーンで使われた裏ワザが、この本の挿絵で紹介されています。

このテクニック、コーナー内側のL型側溝に車輪をわざと落としてバンク角を稼ぐ、というのがタネ明かしなのですが、
作者のしげのさんもこの本を読んでたのでしょうか??

ダブルクラッチ

ダブルクラッチって何ですか?といいますと、

マニュアルミッションのクルマで「ガクン」とならないスムーズなシフトダウンをやるためのテクニックで、

右足のつま先でブレーキを踏みながら、左足でクラッチを切ってギアを抜いて、ギアを一旦ニュートラルに入れてクラッチを繋ぎ、右足かかとでブォンとアクセルを空ぶかしし、またクラッチを切ってギアを入れる、

という一連の作業を、一瞬でやるという事です。

普通のヒールアンドトゥを使ったシフトダウンとの違いは、一旦ニュートラルに入れてからクラッチをつないだ状態で空ぶかしさせる、という点。

で、シフトダウンの度にクラッチを2回繋ぎますから「ダブルクラッチ」

「そんなややこしい事出来るか!」と思いましたが。

ちなみに最近のクルマのギアボックスにはギアとギアの間に柔らかい金属で出来た「シンクロ」というものが付いてて、ギアチェンジのときにコレが擦れて自動で回転数を合わせてくれるので、ダブルクラッチ操作は不要です。

が、
峠を攻めまくったり、サーキット走行などでギアボックスを酷使すると、このシンクロが擦り切れて普通にギアチェンジしようとしてもガリガリと鳴いてギアがスムーズに入らなくなるのですね。

僕が最初に乗ったクルマは友人がゼロヨンに使ってたのでギアのシンクロ機能が死んでましたから、この本で知った「ダブルクラッチ」を練習したものでした。
ダブルクラッチをマスターした当時はコーナーを曲がる度に自慢げにブォンブォンと吹かしてましたが、
これをいつでもどこでもシフトダウンの度にやる必要があるので、場所によって恥ずかしい思いをします。

ちなみにヒールアンドトゥをマスターすると、坂道発進も安全に出来るようになります。

オートマに乗ってる今では必要なくなったスキルですが。

オーバーステア、アンダーステア、ダウンフォース、スリップ、スライド、ドリフト、ライン取り・・・

この本ではこういった、自動車雑誌の試乗インプレッションに出てくるカタカナ言葉の意味と理論について、
セッティング方法やどうやってそういう状態に持ち込むのか、など、単なる用語解説を超えて、かなり詳しく知ることが出来ます。

具体的な数値、計算式やグラフまで出てて、
当時は「プロのレーサーって頭の中でこんな計算しながら走ってんのか、スゲーな。あー分かんねー」
と思ってたのですが。

でも、計算までやらなくても、
知識としてざっくりと読んでおくだけで、
タイヤを太く扁平にするとスリップがしにくくなってグリップ力が上がる代わりに滑り出しに注意する必要があるとか、
足回りを固めすぎた場合のデメリット、
前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動それぞれのコーナリング時のクセ、
軽くドリフトさせた方がスムーズに曲がれる場合もあるとか、
状況に応じた安全なライン取りのやり方など、大まかにイメージする事が出来ます。

この「新・ハイスピードドライビング」、かなりマニアックな本ではあるのですが、
免許取って初めてクルマに乗る人こそ、クルマの挙動の法則性を知るために読んでおくと良いのでは?と思ったのでした。

本日は以上でございます。